IWAKUMA RIKIYA
岩熊力也 / 画家
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Sleeping Landscape
眠山水
Gallery KOBAYASHI
2007


眠山水26 227x182cm 2006



眠山水4 227x182cm 2006



眠山水9 194x162cm 2006



眠山水24 194x130cm 2006



火の国の絵画 

火の神カグツチは母イザナミの女陰を焼きながら生まれ、その結果母は死に至り、怒りに震えた父イザナギは息子を刃にかける。やがて夫婦は黄泉比良坂にて決別する。
憎悪にまみれた親子の創りあげた火山列島に私もまた生きている。
何故この国の画家たちは飽くことなく山水画を描き続けてきたのか。山があって水が流れている。たったそれだけのことに何をこだわっていたのか。民族的無意識のうちに我々は最初の記憶、始まりの風景を嗅ぎとっているのだろうか。神々の荒ぶる魂を鎮めようとでもしているのだろうか。そして我々の授かった余白の力、今や手垢で薄汚れた余白の力。世界の完結を拒むあの空間は何に対峙しているのか。今でも何かに対峙しているのか。私は何処へ向かえばよいのか。
不眠のなかで一つのイメージがあたまをもたげる。
とある夜、数千年にわたって全身に血をたぎらせていた山々が不意に眠りにつく。風はやみ、音一つ無くなったその大きな身体のそこかしこからコロイド状のものが静かに湧き上がり、やがて一つの透明な塊となって斜面をゆっくりとってゆく。まず村々がのみこまれ深い眠りに落ち、瞬く間に都市という都市にそれは広がってゆく。生きとし生けるもの全てが眠りに落ち、死者たちもまた暫しの眠りをむさぼる。戦場の子供たちは久しぶりの眠りにつき、兵士たちもまた眠る。やがては独裁者の亡霊たちも横になるだろう。オオカミもヒツジも眠ってしまった。みんな眠った。

岩熊力也